2012年6月29日金曜日

「図解やさしくわかる強迫性障害」がスゴ本

原井宏明・岡嶋美代著作の「図解やさしくわかる強迫性障害」を読みました。2名の著者は泣く子も黙る行動療法の専門家です。




本書は一般向けに書かれていて、挿絵やマンガも多く、スラスラ読めます。しかも、実際のOCD患者さんのエピソードや自分で行う6日間のエクスポージャープログラム、家族の関わり方など豊富な内容が、専門的な立場からしっかりと書かれています。例えば精神科受診については、

最もよくない例は、OCDの治療実績がほとんどないのに「治ります」と言われて治療を続けてしまうケースです。これではいつまでたっても回復は望めず、その人の人生を大きく左右してしまいます。
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精神科医を探すときは、いきなり受診するのではなくて、まず電話でOCDの治療を行っているかどうかを確認してください。その際に、どんな治療方法で、年間どのくらいの数のOCDの患者さんの治療をしているのか聞いてみるとよいでしょう。「OCDの患者数は年間10人以下」と言われたら、そこの医療機関ではほとんど治療実績がないに等しく、選択肢から外したほうがよいでしょう。

と、書かれており、ユーザーからすると非常にわかりやすいものだと思います。


特筆すべきは、エクスポージャーについて54ページを割いて、具体的な方法、段階的な取りくみ方が情景が浮かぶ様に、詳しく記述されている所です。一般的な行動療法の専門書でも、これだけの分量をエクスポージャーに割くことは珍しいです。一般書として書かれていますが専門家も必読だと言えます。

著者のHPとOCDの会へのリンクを貼っておきます。