2014年7月17日木曜日

「発達障害のある子のABAケーススタディ」を読みました

 ABA初学者を対象に、「ABAの理論やアセスメントについては分かった気がするけど、実際の支援にどう生かしてよいかわからない」という要望に応えたのが本書です。
8つの視点でうまくいく!発達障害のある子のABAケーススタディ―アセスメントからアプローチへつなぐコツ
8つの視点でうまくいく!発達障害のある子のABAケーススタディ―アセスメントからアプローチへつなぐコツ
 簡潔に20ケース以上が紹介されていて、ABAの実際をイメージするにはとても良い本だと思いました。ABAを専門で学んでいる人は、やや物足りなく感じるかもしれません。それでも、自分の臨床に生かせそうだと思うポイントがいくつかありました。

反応連鎖の図

P 66に紹介されていた反応連鎖の図が個人的には、ケースをまとめるのに便利そうだと思いました。ちょっとアレンジしたものを紹介します。
 私は、Wordの表をつかって随伴性をまとめることが多いのですが、このフォーマットだと結果が次の連鎖の先行刺激になること&悪循環の在り様をわかりやすく表現できそうだと思いました。

段階的な随伴提示

ケース12「日常のあらゆることに対して、手伝いを求め続けるカナメくん」で紹介されていた方法です。
自力遂行するのかしないのかは、カナメくん自身に選択してもらうことにしました。そのうえで、自力遂行した場合としなかった場合には、結果に差をつけることとしました。・・・
このケースでは、自力で「頑張るカード」と補助を要求する「手伝ってカード」の選択機会を作って、それぞれに応じた結果事象(ハイタッチ・言語賞賛・身体誘導)に差をつけるというものでした。対応する、しないという2択ではなくて、大きく対応、小さく対応、対応しないなど、随伴させる刺激に差をつけるわけです。随伴操作ではないですが、以前、行動活性化療法のなかの段階的なアプローチに「ほうほう」と感心したことがあります。
活動レベルの異なるいくつかの行動を階層構造をイメージして分類し、その日の調子に応じて改装を上下しながら生活するとよいでしょう。こうすることで、自分の調子に見合った活動調整ができるようになるとともに、調子が悪いときも「まったく何もしない」というパターンから脱却することができるようになります。 レベルアップしたい実践家のための事例で学ぶ認知行動療法テクニックガイド
こういった工夫でスムーズな対応が可能になるかもしれませんね。