2014年12月10日水曜日

ミシェル G. クラスク (Michelle G. Craske) の研究について

 2014年の認知・行動療法学会では、クラスク教授の名前を聞く機会が多く、興味がわいたのでその研究について、大まかに調べてみようと思います。

Michelle G. Craske

まず、Craske がどのような人かということについて。 Craske というファミリーネームの読み方ですが、以下の書籍紹介の音声からするとカタカナ読みで“クラスク”で良さそうです。

Mastery Of Your Anxiety And Panic

彼女は、カリフォルニア大学ロサンゼルス校 (UCLA) の心理学部、不安障害研究センターに所属しています。
UCLA Anxiety Disorders Research Center :: People :: Michelle Craske, Ph.D.
Faculty Page | UCLA Psychology Department

YouTubeにストックホルムで公演している映像がありました。


 エクスポージャーセラピーの最適化: 制止学習アプローチ

学会では、2008 年と2014 年の二つの論文がかなり面白いと話題でした。てゆーか、Googleで検索したら2014年の論文は普通に拾うことができるんじゃないですか!?

Craske, M. G., Treanor, M., Conway, C. C., Zbozinek, T., & Vervliet, B. (2014) Maximizing exposure therapy: An inhibitory learning approach. Behaviour Research and Therapy, 58, 10-23.

要約を引用します。
 相当数の人々がベネフィットを得ることに失敗し、治療後の恐怖の再発を経験するものの、エクスポージャーセラピーは不安障害治療の1つの効果的アプローチである。制止学習のような、エクスポージャーセラピーの背景にあると信じられているメカニズムにおいて、不安者が欠損を示すことを研究は示唆している。ターゲットとするそれらのプロセスはエクスポージャーベースの手続きの効果を改善することを助けるだろう。本論分の主要な目的は、不安を有するクライエントへのエクスポージャーセラピーを最適化するために、このモデルをどのように適用するかという例を、臨床家へ示すことである。スタンダードな認知行動療法の中の“恐怖馴化”アプローチと、“信念反証”アプローチとの違いを示すという方法で、それを行う。エクスポージャー最適化戦略は、以下を含む。1) 予期の妨害、2) 深められた消去、3) 検索手がかり、4) 安全シグナルの除去、5) 変動性、6) 時おりの消去の強化、7) 多様な文脈で、8) 感情のラベリング。ケーススタディは、それらの技法を、強迫性障害やPTSD、社交恐怖、特定の恐怖症、パニック障害を含む様々な不安障害へ適用する方法を例示する。

研究論文


最近ハマってるUPのセラピストガイドでも、Craske の論文はたくさん引用されていました。 Barlow とも古くから共同研究をしているんですね。

Craske, M. G., Kircanski, K., Zelikowskiy, M., Mystkowski, J., Chowdhury, N., & Baker, A. (2008). Optimizing inhibitory learning during exposure therapy. Behaviour Research and Therapy, 46, 5-27.

Cerny, J. A., Barlow, D.H., Craske, M. G., & Himadi, W. G. (1987). Couples treatment of agoraphobia: A two-year follow-up. Behavior Therapy, 18, 401-415.

Barlow, D. H., & Craske, M. G. (2006). Mastery of your anxiety and panic: Client workbook (4th ed.). New York: Oxford University Press.

Craske, M. G., Brown, T. A., Meadows, E.A., & Barlow, D. H. (1995). Uncued and cued emotions and associated distress in a college sample. Journal of Anxiety Disorders, 9, 135-137.

Craske, M. G., & Mystkowski, J. L. (2006). Exposure therapy and extinction: clinical studies. In M. G. Craske, D. Hermans, & C. Vansteenwegen (Des.), Fear and learning: Basic science to clinical application (pp. 217-233). Washington, DC: APA Books.

Tsao, J. C. I., Lewin, M. R., & Craske, M. G. (1998). The Effects of cognitive-behavior therapy for panic disorders on comorbid conditions. Journal of anxiety disorders, 12, 357-371.

Zinbarg, R., Craske, M., & Barlow, D. H. (2006). Therapist’s guide for the mastery of your anxiety and worry program, New York, NY; Oxford University Press.