2013年10月25日金曜日

積読してた認知変数連結論を読んだ

恐らく発行されてすぐ、2007年に買っていた中島義明の認知変数連結論を読んだ。買った本も、ついそのままにしておくと、あっという間に6年も経つというのは恐ろしい・・・。

認知変数連結論―認知心理学を見つめ直す認知変数連結論―認知心理学を見つめ直す
中島 義明

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基本的には別個に研究されている認知心理学における変数同士の類似点を探っていき、別々に蓄積されてきた知見を統合して、もう1つ先の次元に進むことができるのではないか?という提案を、この1冊で例示しながら説明している。

それは、確かに面白みのある視点ではあるけれど、そのあたりの必要性や反面にあるもどかしさは、ブラックボックスに手を突っ込んだ認知心理学の宿命であるのだろう。

これは、7月ごろに読んだA. F. チャルマーズの「科学論の展開」の内容とも関連するので面白かった。

改訂新版 科学論の展開改訂新版 科学論の展開
A.F.チャルマーズ,高田 紀代志,佐野 正博

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Kuhn(1962)のパラダイムに見られる様な「ゲシュタルト転換」や「改宗」といったことが、仮説構成概念を多用する認知心理学の中では生じることが多いのだろう。

そこで、安易に改宗をするのではなくて、連結部を探ることで過去の研究とはことなる領域の研究も統合して生かしていこうというのが著者の意図するところではないかと思う。

確かにそういった進み方もあるのかもしれないけれど、ラカトシュの研究プログラム論のように、理論の核と保護帯とを明確に分け、新奇な予測に導く研究プログラムを明示したり、より自然な予測をする枠組みを示すといった、今ある知見を整理整頓する試みがされても良いのではないか?

連携していく方向、淘汰洗練の方向、どちらか一方が正解ということではないけれど、面白いテーマです。