2018年11月30日金曜日

第1回 公認心理師試験を合格するためにしたこと

カウンセリング・心理的支援に関する日本で初めての国家試験の試験が2018年9月9日に行われました。その結果が11月30日に出ました。この資格試験に向けて個人的に行った対策をまとめます。

試験結果

2018/11/30 時分、ホームページを見て、無事合格を確認しました。
 京都コムニタスで、試験の回答を分析してもらうと、正答率は75%で、偏差値は60という結果でした。

情報収集

はじめての試験というのが、公認心理師試験の第一の特徴です。そのため情報はとても大切になります。試験関連情報が最もたくさん交わされたのがツイッターでしたので、多くの臨床心理クラスタアカウントが作成されました。現任者講習の受付、講習テキストの値段、試験問題予想、職能団体について、精神保健福祉士が国家資格化された時の状況など、いろいろなことを知ることができました。来年度以降は、勉強の計画や手続きに迷うことは少ないと思います。

勉強の記録

私の勉強の記録は以下です。公認心理師試験勉強の記録 2018 (随時更新)
  • 2017年10月下旬 DSM-5を読み始める
  • 2017/12/28 日精協から現任者講習の資料が届く。
  • 2018/01/07 DSM-5読了
  • 2018/01/09 twitterにて、試験日程は9/9という噂話を目にする
  • 2018/01/14 極論で語る睡眠医学を読む。
  • 2018/01/26 現認者研修テキストを書店で購入。
  • 2018/02/10~03/03 シムズ記述精神病理学を読む
  • 2018/03/19~28 マンガでわかる神経伝達物質の働きを読む
  • 2018/3月下旬 現任者講習会に参加
  • 2018/04/13~05/12 2018社会福祉士の合格教科書を読む
  • 2018/05/05 4択クイズVBAのVer. 0 の作成
  • 2018/05/07 受験申込書の発送
  • 2018/05/13 臓器、リンパなど10枚ほどスケッチをする
  • 2018/06/06 産業カウンセラー受験資格を取得
  • 2018/06/02~6/24 公認心理師必携テキストを読む
  • 2018/06/25~7/01 必携センテンスを読む
  • 2018/07/02 4択クイズVBA Ver. 1.0 の公開
  • 2018/07/16~7/23 マンガでわかるホルモンの働きを読む
  • 2018/07/23~8/07 サイコロジカル・ファーストエイドを読む
  • 2018/08/22~8/26 心理学検定一問一答問題集Bを解く
  • 2018/08/26~ 辰巳の肢別ドリルを解く
  • 2018/08/29~ 現任者講習テキスト再読
  • 2018/08/31~ 脳単を模写する
  • 2018/09/01~ ブループリントに情報をまとめて書き込む
  • 2018/09/06 北海道胆振東部地震が起きる
  • 2018/09/07 北海道会場の試験の延期が決まる
  • 2018/09/08 試験地に前日入り
  • 2018/09/09 試験

この中で有効だったと思うものをまとめてみます。

現認者講習

公認心理師の受験資格の要件はいくつかあります。その1つが現認者枠(通称Gルート)であり、試験開始からの5年間のあいだは、現場で相談業務に5年以上仕事をしている人は、講習を受けると受験資格が得られます。その講習が「現認者講習」です。
ツイッターや各所のお偉いさんから、「第一回の試験は現認者講習の内容から出る」との噂が流れ、他ルートから受験される方でも非常に多くの人がこの講習を受けました。あまりに多くの人がエントリーしたので、受講申し込みの受け付け日にはホームページにアクセスが集中し、受講できない人が多数見られました。その後、追加の講習が沢山行われたので、この問題は解消されていきました。
 「現認者講習の内容が試験に出る」という言説ですが、その妥当性はどうだったのでしょうか?現認者講習のテキストから文面がそのまま使われるようなものはなかったように記憶していますが、元々網羅的な内容をおさらいする講習なので、講習の中で出てきたキーワードは問題の中でも度々登場しました。第一回試験に関しては、ブループリントにそってしっかり勉強しておいたり、テキストのみ購入して何度か通読しておけば、とびきり重要という訳でもなかったように思います。

DSM-5を通読する

私が一番に行ったのは、DSM-5の厚い本を通読するというものです。これまでの自分が精神疾患をきちんと理解できていない、いつかDSMを読みたいと思っていたので、試験が良い機会になりました。「精神疾患の診断基準を網羅できている」という自信を持つことができました。DSMは読み物としても面白いものだったと読了してからは思います。特に、全ての精神疾患について「鑑別診断」の項目があり、ここだけでも読む価値はあります。

公認心理師必携テキスト

試験用のテキストとして最も役立ったのは、必携テキストであったように思います。表現も平易で分かりやすかったです。特に、ブループリントとの対応がなされており、用語を調べる辞書的な使い方をするのに役立ちました。

公認心理師法の勉強

事前のツイッター等での予想では、公認心理師法に関する問題が非常にたくさんでると想定されていましたし、僕もそう思っていました。法律の勉強で最も役立ったのは、辰巳法律研究所が出版した、「公認心理師試験これ1冊で!最後の肢別ドリル」でした。○×問題でいくつも視点を変えて、公認心理師法に関する問題を解くことができ、解説も分かりやすいです。結果的に、実際の試験では法律問題は思っていたほど出ませんでしたが、資格取得後のために法律を覚えるには最適でした。

生理学についてはマンガで分かるシリーズ

1つのトピックが2ページくらいにマンガと解説でまとめてあるので、とても分かりやすいです。苦手な生理学的な知識を補うのに活躍しました。

心理学検定公式問題集、一問一答問題集

こちらは基礎心理の問題を解く練習として取りくみました。最初は、公式問題集のみをやっていましたが、一問一答の方が、問題が幅広く、解説も分かりやすいため、終盤で活躍したのは、後者でした。

ツイッターでブループリントに対応した問題を作る。

これは非常に役立ちました。キーワードの類似性や定義の違いなどを問題を作る過程で整理されていきました。

ブループリントに問題をまとめる



脳や体の構造は模写する



やっておけば良かったこと

・模試を受ける
模試についての情報収集ができておらず、存在を知った時には既に終わっていました。自分の理解度や弱点を知ることができていれば、もう少し効率的に勉強できたかもしれません。

まとめに変えて

私を含め、心の専門家を自負する者も不安にかられ、惑い、情報に踊らされ、結果に一喜一憂するという姿がツイッターで可視化されました。これを見ることができた「はじめての国家資格試験」を当事者として体験できたことは貴重でした。
一方で、我々は、これから国民の心の健康に寄与していくという本来の目的をどれだけ達成していけるかということが問われているわけです。勉強をここで終わらせずに、精進し続けていくことが求められます。