MOCI邦訳版についての情報まとめ

平成26年度の診療報酬改定で、心理検査もいくつか追加されました。内容的には質問紙尺度の追加が多かったです。例えば、AQ日本語版、日本語版LSAS-J、EAT-26など。その中で、MOCI邦訳版についてはネットで検索をしても中々情報が集まらなかったので、ブログにまとめておきます。

MOCIオリジナル版

まず、MOCIとは Maudsley Obsessional-Compulsive Inventory のことです。MOCIは Hodgson and Rachman (1977) によって開発された強迫症状をアセスメントするために広く使われている尺度です。

オリジナル版の論文は以下です。
Hodgson & Rachman (1977) Obsessional-compulsive complaints. Behaviour Research and Therapy, 15, 389-395.

2件法で30項目から合計点を算出します。得点の範囲は 0 ～ 30 です。但し、MOCIは4つの下位尺度（Checking 9項目, Cleaning 11項目, Slowness 7項目, Doubting 7項目) を持っていて、下位検査を合計する場合には34項目になる、という変り種の検査です。

MOCI邦訳版

MOCIの日本での翻訳は以下の2つの論文で行われています。
細羽竜也　内田信行　生和秀敏 (1992)　日本語版モーズレイ強迫神経症質問紙 (MOCI) の因子論的検討　広島大学総合科学部紀要Ⅳ理系編, 18, 53-61. [PDF]

吉田充孝 (1995) 強迫性障害に対する Maudsley Obsessional Compulsive Inventory (MOCI) 邦訳版の有用性について 精神医学, 37, 291-296. [CiNii]

私もまだ入手していないのですが、おそらく吉田 (1995) で作成された邦訳版が算定可能なのものなのでしょう。

吉田 (1995) 論文（追記：20150118）

吉田 (1995) の論文を入手しました。バックトランスレーション、OCD群・パニック障害群・健常対照群のANOVA、4週間の期間をあけた再検査、アルファ係数の算出などはされています。一方で、対象者が60名で因子分析もしてなくて、きちんと吟味されているかどうかという点で疑問は残ります。その後の他の研究も追ってみる必要がありそうです。

入手方法

MOCI邦訳版をどのように入手、というか購入可能かが今の所よくわかりません。我らがサクセスベルのホームページも平成26年の改訂情報はまだ掲載していない様です。

心理検査の医科診療報酬について | サクセス・ベル株式会社　－心理検査・学力検査・適性検査・箱庭療法・コミュニケーションツール等の販売－

今後も継続して情報を調べていこうと思います。