UP 統一プロトコルとは
まず、統一プロトコル (Unified Protocol) の説明について本書より引用。統一プロトコルは、様々な似通った認知行動療法のプロトコルをひとつに集約したものである。統一プロトコルは、その名が示すとおり、様々な認知行動療法のプロトコルをひとつにまとめたプロトコルである。プロトコルとは、治療の実施内容とその手続きが標準化され、一定の訓練を受けた臨床かであれば誰もが同じように実践できるように配慮して記載された手順書を意味する。治療マニュアルとほぼ同義である。不安障害やうつ病への認知行動療法のプロトコルは、もはや数えきれないほどある。しかし、それぞれ別の認知行動療法プロトコルであっても、どれも認知行動モデルに則っており、その介入手続きも大差ない。そこで、各障害に対するプロトコルに共有する治療エッセンスを抽出し、効果的にひとつにまとめ、幅広い障害に対して対応できるように作られた治療プログラムが、統一プロトコルである。
対象は、うつ病性障害と不安障害全般、心気症、摂食障害の一部、身体表現性障害、解離性障害など、非常に幅広いです。
Amazonのオススメで、統一プロトコルの本が紹介されるのを見たときには、「認知療法っぽい治療だろうな・・・」「頭の中をこねくり回しても、そこまで効果がないだろうな・・・」という先入観を持っていました。ところが実際には、エクスポージャーが治療の中心に据えられていて、かなり実用的な治療であることが、認知・行動療法学会に参加して訳者の伊藤正哉先生の話を聞いて分かりました。伊藤先生が繰り返し言っていた「感情とともに生きていく練習」という言葉がとてもしっくりとくる治療だと思います。
この本の長所
書籍としては、UPの大枠を理解することに適していますが、なんといっても付属のDVDが素晴らしいです。全般性不安障害のクライエントに“不確実性への暴露”を行うシーンや、シュノーケリング中に溺れてしまった経験のあるPTSDクライエントへシュノーケルをつけて浅い呼吸をするエクスポージャーのシーンなど、実際の治療場面が分かりやすく描かれています。
臨床家にとっては非常に参考になる映像です。
その他
UPをしっかりと学ぶためには、セラピストガイドとワークブックを使ってしっかり勉強することが求められるでしょう。また、ハンドアウト資料や、治療で使うことのできる素材も公開されています。
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